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明けましておめでとうございます!

2018/01/01 7:43:

旧年中は、勝木書店・KaBoS各店をご利用頂きまして、誠に有難うございます。
今年も、引き続き各店をご愛顧頂ければ幸いです。
社員一同、皆様のご来店を心よりお待ちしています。
今年も、宜しくお願い致します。

勝木書店

2017年年間ベストセラー

2017/12/29 10:57

勝木書店グループ年間ベストセラー1位〜10位です。
年末年始にご購読いただけますと幸いです。
(文庫、コミックは除いています)


1位 「九十歳。何がめでたい」
9784093965378

2位 「ざんねんないきもの事典」
9784471103644
    こちらもどうぞ
    「続ざんねんないきもの事典」
9784471103682

3位 「うんこかん字ドリル 小学1年生」
9784905073819
    こちらもどうぞ
    「うんこかん字ドリル 小学2年生」
9784905073826
    「うんこ漢字ドリル 小学3年生」
9784905073833
    「うんこ漢字ドリル 小学4年生」
9784905073840
    「うんこ漢字ドリル 小学5年生」
978490507385
    「うんこ漢字ドリル 小学6年生」
9784905073864

4位 「蜜蜂と遠雷」
9784344030039

5位 「漫画 君たちはどう生きるか」
9784838729470
    こちらもどうぞ
    「君たちはどう生きるか」
9784838729463

6位 「体幹リセットダイエット」
9784763136213

7位 「儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇」
9784062729642

8位 「騎士団長殺し 1 顕れるイデア編」
9784103534327
    こちらもどうぞ
    「騎士団長殺し 2 遷ろうメタファー編」
9784103534334

9位 「応仁の乱」
9784121024015

10位 「東大ナゾトレ 1」
9784594077181
     こちらもどうぞ
     「東大ナゾトレ 2」
9784594077549
     「東大ナゾトレ 3」
9784594078584

歴史への招待 81) 鳳雛の夢

2017/12/21 5:57:

伊達正宗、幼名は梵天丸。
伊達家当主輝宗と出羽国主最上義守の娘義姫との間に出来た嫡男である。
五歳の時に患った疱瘡により、顔にあばたが残った。だけでなく疱瘡の毒が右目に入り、右目は失明、しかも腫れによって眼窩から大きくはみ出している。
端正な顔立ちだった梵天丸は、醜く変貌し周囲の人々から疎まれ、最愛の母からも忌避されるようになってしまった。

梵天丸は、醜い顔を隠すように、うつむいたままで目立たず、声も出さないような子となった。
周囲の者には、大人しい、覇気がないと評判は最悪だったが、一人父輝宗だけは、梵天丸を愛し続けてくれた。
病が癒えると、父は禅僧虎哉宗乙(こさいそういつ)を、梵天丸の師として付けてくれた。
宗乙は、梵天丸に憤怒の表情で睨みつける不動明王の仏像を見せ、「不動明王は悪しきを追い払う降魔の仏。内にあるは、衆生を慈しみ守る優しい心」「そなたも伊達の惣領として守る側なのだ」と諭した。
「伊達を守る為に近隣を取る。征服した地の民も伊達の民、その民を守る為に、さらに周囲を併呑する。天下を統一すれば戦はなくなる」天下制覇のために宗乙は厳しく梵天丸を鍛えた。

初陣で城一つ。
元服し藤次郎正宗となった梵天丸は、十六で初陣を迎えた。
宿敵、相馬氏と大内・畠山の連合軍に、父輝宗は伊達の全軍を投じて迎え撃った。
正宗は、別働隊三千を率い、相馬方の金山城を攻めると見せて、別の金津城を攻めた。あわてて救援に赴いた相馬方の陣形の乱れを父の主力軍とともに撃ち、金津城を落とした。
「初陣で城一つ。古来稀なり」と父に絶賛された。

父をわが手で。
若くして当主となった正宗は、近隣を苛烈に攻め立てる。若年の当主と侮られないようにと抵抗する者を撫で斬りする正宗を危惧する輝宗は、畠山義継の降伏を仲介しようとするが、不覚にも質にとられ連れ去られようとする。
国境まで追跡した正宗は、遂に決断し父輝宗もろとも畠山勢を銃撃し、父を死なせてしまう。

惣無事令と宿敵葦名。
その後も、正宗は近隣の畠山、二階堂、葦名などとの攻防は一進一退、奥州制覇は夢のまた夢だったが、天下は大きく動いていた。
秀吉は、毛利、上杉、徳川らを傘下に納め、惣無事令に背いたとして九州を征伐、島津を下した。
焦る正宗は、葦名家重臣猪苗代盛国を調略し、遂に宿敵葦名を滅ぼした。
しかし、秀吉の惣無事令に背くことは明確で、しかも葦名は秀吉に臣従していた。

雌伏の日々
秀吉が北条征伐に20万の大軍を動員するに及び、遂に正宗は決断し秀吉に膝を屈する。
奥州制覇の夢を捨てたわけではないが、如何せん、天下の定まるのが早すぎた。
しかし、葦名の旧領会津は召し上げられるが、正宗の首はつながった。

その後も、奥州征伐で改易された諸家の旧臣らの一揆を支援したり、ポスト秀吉の関白秀次に接近し、二度死にかけているが、したたかな正宗は窮地を切り抜け、関ヶ原でも奥州制覇に向けた独自の動きをみせる。
風雲児正宗は、生まれてくるのが遅すぎた。しかし戦国の世も終わりを告げた徳川の時代、外様の改易が続く中にも、したたかに伊達家を守り通し、奥州制覇の夢を捨てることはなかった。


「鳳雛の夢」上巻 上田秀人著 光文社時代小説文庫 978433477550
「鳳雛の夢」中巻 978433477551
「鳳雛の夢」下巻 978433477552



橋本

【宮下奈都さんの新刊エッセイ集 入荷しました!『緑の庭で寝ころんで』】本店

2017/12/13 10:55

宮下奈都さんの新刊エッセイ集『緑の庭で寝ころんで』が発売になりました!!
福井新聞社『fu』で連載の「緑の庭の子どもたち」4年分が完全収録されているほか、本屋大賞受賞についてや、読書日記、単行本初収録の創作など、宮下さんのあゆみがたくさん詰まった宝箱のような1冊です。

やさしくて、穏やかで、おもしろくて、ふんわりとやわらかいのに、どこか凛としていて・・・個人的な印象ですが、まるで宮下さんの人柄そのものみたいな雰囲気のエッセイ集だと思います。
読んでいると、宮下さんや宮下さんのご家族、いろんな人たちの笑顔が浮かんできて、こちらも自然と笑顔になりました。
3人の子どもさんたちが、素直でおもしろくて、すごくかわいいです。特に娘さんのかわいさ!何度も笑い、何度も癒されました。

笑顔とよろこび、そして、しあわせいっぱいのエッセイ集です。しあわせって、思ったよりもすぐ近くにあるものなのかもしれません。そんなことを思って、なんだかワクワクしてきました。

宮下さんファンの方がこのエッセイ集を読めばきっと、今よりもっと宮下さんのことが好きになると思います。宮下さんの小説を読んだことのない方が読めばきっと、宮下さんの小説を読んでみたくなると思います。担当者が心からおすすめいたします。

『緑の庭で寝ころんで』、実業之日本社、1728円、9784408537177

【もうすぐクリスマス】SuperKaBoS新二の宮店

2017/12/12 12:24

《 もうすぐクリスマス。
  KaBoS新二の宮店では、みなさんからサンタさんへの
  お手紙を募集しています。
  お店の入り口にある紙にサンタさんへお手紙をかいて
  クリスマス☆ツリーに貼り付けてください。
  きっとサンタさんが見にきてくれますよ♪ 》

歴史への招待 80) 呉漢

2017/12/11 6:08:

呉漢は、漢(前漢)末期南陽郡苑県の人で、城外の彭(ほう)氏の農場で働く雇人に過ぎなかった。
「赤貧洗うがごとし」。父はすでに亡く、母と兄、弟の四人暮らしだが、食費の負担を減らすために農場の長屋に住み込みで働いていた。

家を支えるために働き続けるしかない呉漢には、何の希望もない。しかし己の境遇を嘆くこともなく、他に怨嗟の目を向けることもなく、ただ黙々と耨(くわ)を振い土だけを見ていた。

そんな呉漢を、彭氏の長子彭寵を訪れた、彭寵の学友潘臨(はんりん)が見ていた。
潘臨は、呉漢に「たまには天を仰ぐべき。それでなくば地をうがつほどみつめるべきである。人が念う力は、小石を黄金に変える」と言った。

潘臨の儒者風の言動が気に入らず、腹を立て、またわが身の学のなさを痛感し哀しみに覆われた呉漢だったが、潘臨が彭寵に呉漢の働きぶりと人柄を好感をもって伝えたため、彭寵に認められ農場の若者を監督する立場になった。

立場が人を育てる。それまで人とのかかわりを拒むかのように寡黙で、ただ黙々と耨を振うだけの呉漢だったが、若者達には厳しく接しつつも、またよく彼らの話の聞き役となった。
呉漢には、人を見抜く目と人を引付ける力がある。
特別のことをしているようには見えないが、農場内の雰囲気が変わり、若者たちだけでなく、皆がきびきび働くようになり、農場は豊作となった。

この後、漢(前漢)は王莽の簒奪により新に変わった。
ある日、郷里の父老に供なわれ県庁に赴くと、意外にも亭長(官吏の休息所所長兼警察署長)に任命された。
これも、新野県の県宰(県令)となった潘臨の推挙によるものだった。

亭長は、訴訟なども取り扱うので司法の知識がいる。農場で知り合った不思議な知識人、祇登(きとう)先生が助けてくれた。その他従者となって呉漢を支えたのも農場で共に働いていた角斗と魏祥だったが、この三人は、この後も終生呉漢と共にあり、掛け替えのない師であり友となる。

亭長としての生活に馴染んだかと思う間もなく、故あって亭長を辞めざるをえなくなるが、紆余曲折を経て、北の彼方幽州安楽県の県令になる。
田舎の警察署長が、いきなり市長になったようなものだが、これも農場時代の友人、韓鴻の推挙によったのだ。

王莽の新は、急激な改革の嵐をもたらし、たちまち民心を失い各地で反乱が興る。
その中に、南陽の劉氏兄弟があった。弟劉秀は、王莽の新を滅ぼし皇帝として立った一族の劉玄に兄を誅されたが、恨みの色すら見せず更始帝のために働き、功を誇ることがない。

河北平定の為、幽州の南、冀州まで軍を進めていた劉秀だったが、邯鄲に漢の成帝の末裔を称する劉子輿が立ち、たちまち華北を席巻し、劉秀は窮地に陥った。

その時、呉漢は風聞に惑わされることなく、冷静に両者の行動を見極め、劉秀支援にまわった。
幽州の騎兵を率いた呉漢らの救援を得た劉秀は、劉子輿を倒し、皇帝として立つ。
人との出会いが、人の運命をも変える。劉秀は、呉漢を得たことで漢(後漢)を復興し光武帝となり全国を再統一した。
呉漢も、劉秀との出会いにより、後漢の大司馬(国防大臣)にまで昇る。
皇帝を信頼し、信頼され、一途に国と民を思い続けることで、呉漢は小石から黄金にかわったのだった。


「呉漢」上巻 宮城谷昌光著 中央公論新社 978412005018
「呉漢」下巻 978412005019


橋本

歴史新刊「蒙古襲来と神風」

2017/12/06 20:35

「蒙古襲来と神風」 服部英雄著 中公新書 978412102461

日本史の教科書にも載っている「元寇」。
文永の役では、「てつはう:鉄砲」などの新兵器や集団戦法で日本側は苦戦するが、野営を嫌い船に引き上げた蒙古軍を暴風雨が襲い一日で退けた。
弘安の役でも、集結する船団を、またも暴風雨が襲い蒙古軍を全滅させたことになっている。

本当の元寇は、どうだったのか。
何故、フビライは日本を攻めたのか?から始まり、本当に神風は吹いたのかを、通説を検証しながら、歴史の真実に迫る。

歴史への招待 79) 宗麟の海

2017/12/01 6:02:

大友五郎義鎮(よししげ)、後の宗麟は、幼い時から心臓の病気を抱え、病弱な子として周りから険しい目でみられてきた。
そのためもあり、義鎮が二十一歳になっても、父義鑑(よしあき)は跡継ぎを決めようとしない。
義鎮には,異母弟で十九歳なる八郎晴英と、年若い側室から生まれた三歳の塩市丸がいて、父義鑑は塩市丸を溺愛していた。

義鎮自身は、家督に執着していない。八郎でも塩市丸でも、父の望む跡継ぎを決めればよい。
しかし、周囲がそれを許さなかった。
あるとき、父より柞原八幡宮への代参を頼まれたが、義鑑は義鎮が留守の間に、塩市丸を世継と定め、義鎮を押す重臣を誅殺した。しかも義鎮暗殺を計ったのだ。

未然に計画を察知した義鎮は、かろうじて危難を免れたが、その後の展開は意外なものだった。
父義鑑の意を受けて、義鎮派の重臣を誅殺した一味は、返す刀で義鑑と塩市丸を襲い義鑑に重傷を負わせ、塩市丸を謀殺した。
義鑑を襲った一味は、八郎の母の出である周防の大名大内家の支援をえて、八郎に家督を継がせようと企んだのだ。

義鎮は、暗殺計画が成功したかに偽装し、密かに府内に舞い戻り、臨終まぎわの父義鑑と和解し、一味を打倒し大内家の家督を継いだ。
世に言う「大友二階崩れの変」に勝利した義鎮だったが、一門衆と地元に根を張る国衆との対立と言う、歴代当主が悩まされてきた根深い問題に直面せざる負えなかった。

若い当主は、事あるごとに結束し反抗する国衆の統率と、近隣からの外圧への対抗と、急を要し、しかも難しい対応を迫られていた。

義鎮は、一門衆を威嚇と懐柔で結束させ、謀反人を討ち、外圧の元凶大内家の支援を得た筑後の叔父菊池義武を破り、肥後の反乱も平定した。
さらに、大内義隆の家臣陶隆房と杉重矩を共謀させ、主君義隆を討たせ、父義鑑の仇をとった。
若くして、戦でも調略でも才能を発揮した義鎮は、大友家の後継者としての地位を確固たるものにしたのだった。

しかし、大内家の跡取りに、弟八郎を送り込み、長年の対立を解消できたと思うのも束の間。陶隆房が毛利元就に討たれ、大内家中は大混乱に陥る。
対応策を協議する中、家臣達は義鎮の意に反し、毛利からの誘いを受け、弟八郎を見捨てて、豊前、筑前二ヵ国を得ることを勧める。

悩みの末、義鎮は家臣の意志を尊重するが、これがその後の災いの元となった。
毛利との協調は束の間で、元就は和睦と進攻を繰り返し、大友家中に調略の手を伸ばし反乱を起こさせ、義鎮を悩ませ続けることになる。

苦悩に押し包まれそうになったとき思い出されるのは、ザビエルとの出会いの時、彼が義鎮に言った言葉だった。
「たとえ世界を手に入れたとしても、心が満たされなければ人は幸せにはなれない」
深く共感しながらも、洗礼を受けることは出来なかった。
逆に、家中で宗門とキリスト教信者の対立が深まるに及び、義鎮は出家し宗麟と名乗り、家中の対立・離反を防がざる負えなかった。

六か国の太守として仰がれた宗麟だが、その心のうちは、図らずもザビエルの指摘した通り、幸せとは言えないものだった。
長く辛い戦いと苦悩の果て、念願の洗礼を受け、信仰に生き心に平安を得ることが出来たのは、ずっと後のことでした。


「宗麟の海」安部龍太郎著 NHK出版 978414005690


橋本

【おすすめの本】『屍人荘の殺人』本店

2017/11/27 18:25

今年読んだミステリの中で、個人的には断トツのおもしろさでした!
とにかく、とにかく、読んでみて下さい!

大学生・夏休み・合宿・ペンション・密室・・・と言うと、なんだか、ミステリにありがちなキーワードで、なんとなく展開が予想できますよね?
この作品も、こんなキーワードの通りに話が進んでいくのです・・・が!!
途中で「まさかの展開」が・・・この「まさかの展開」が本当にとんでもない!(いい意味で)
正直、一瞬、「えーーっ、そっち!?」と思いましたが、読み進めるうちに、あまりのすごさに心臓がバクバクしました。おもしろすぎてバクバク、これは今とんでもなくすごいミステリと出会っているのではないかという興奮でバクバク、「まさかの展開」が起きてからはページをめくる手がとまらず、一気読みでした。

キャラ、設定、この展開でしかありえない謎、動機、どこをとってもすごすぎて、惚れ惚れしてしまいます。
読めばきっと、強烈に印象に残るミステリになると思います。この作品と出会えたことは、私の中ではひとつの大きな出来事になりました。
さっきから何度も「すごい」という言葉を使っていますが、本当に、本当に、すごい作品です。
担当者が自信を持って、猛烈におすすめいたします。読むときっと、誰かに自慢したくなるくらいのおもしろさだと思います。たくさんの人に読んでもらいたいので、もし誰かに自慢したくなったら、ぜひ自慢して、この本をどんどんおすすめして下さい!!

最後にひとつ、この作品を最大限に楽しんでいただくために、本の最後のほうに載っている参考文献のページは先に見ないほうがいいと思います。あと、これは先に見てしまっても大丈夫なのですが、冒頭の登場人物紹介のページで、もしもちょっと気になる箇所があったとしても、できるだけ考えずにスルーして読み進めて下さい。登場人物は多めですが、それぞれ覚えやすい名前になっているので、個人的には登場人物紹介は読まなくても大丈夫なくらいだと思います。

『屍人荘の殺人』今村昌弘、東京創元社、1836円、9784488025557


本店 樋口

歴史への招待 78) 冬を待つ城

2017/11/21 5:23:

久慈四郎正則は、長兄九戸政実(まさざね)の居城のある二戸へ向けて、雪の山道を急いでいた。
政実が、三戸城を居城とする南部信直への新年参賀を欠席すると聞いたから、直接兄の真意を問うためだった。

元々、九戸家は南部家の支流で、南部家を名目上の主家と仰ぎながらも、対等に近い間柄だった。
しかし、秀吉の奥州仕置により、中央集権化を計る豊臣政権は、南部家を主家と認め、九戸ほかの諸家に南部への臣従をもとめた。
今、新年参賀を拒むことは、豊臣政権への反逆とみなされ、南部もろとも滅ぼされてしまうに違いない。

しかも、南部信直と政実の関係は険悪と言ってよい。
それは南部家先代晴政没後、嫡子晴継の不慮の死への疑惑と、その後の家督争いに於いて、信直一派の力による相続に、政実が異議を唱えていたからである。

とは言え、ことここに至っては、我を折って参賀に赴かねば戦になる。
中の兄、実親と相談の結果、三男康実と叔父で長興寺の薩天和尚にも入ってもらい、家族会議を開き、政実を説得し、ようやく正月参賀に行くことを約束させることが出来た。

しかし、正月参賀の日、政実は参賀に訪れなかった。
正則はじめ三兄弟は窮地に立たされ、政実の嫡男亀千代を証人に出し、政実が信直に対面しわびを入れることを約して、かろうじてその場を繕った。

やっと和解の対面を迎えた日。政実が明らかにしたのは、恐るべき豊臣政権の人狩りの話だった。極寒の地、朝鮮への出兵に備え、奥羽の人々を人足として徴発すると言う。
信直にこの件への対応を迫るも、政実の話を信用せず、和解は物別れとなった。
しかも、その場で政実が刺客に襲われるに及び、両家の間は修復不能となり、ついに開戦に至ってしまう。

政実が刺客に襲われたことも、南部と九戸の対立を煽っているのも、豊臣政権のある人物の思惑があった。朝鮮で使役する人狩りだけでなく、九戸の領内で産出する良質の硫黄も目当てだったのだ。

南部、九戸両家は与党を募り、攻防は一進一退、決着が付かず、信直救援の名目で、豊臣の第二次奥州征伐がはじまった。
秀吉は、六月に軍令を発し、伊達や蒲生、奥州の諸将だけでなく、上杉景勝、徳川家康を参軍させ、甥の秀次を総大将に据え、十五万の大軍で攻め寄せてくる。

誰れが見ても政実らに勝ち目はない。
しかし、政実には負けない目論見が出来ていた。
元々要害の地にある九戸城を改修し、より攻めにくくし、鉄砲をはじめ武器、弾薬、兵糧を十分に蓄えた。
そして、伊達正宗に和議の斡旋を依頼し時を稼ぐ。今は八月、旧暦の八月は奥州では秋。十月には奥州の早い冬が訪れ、一面の野山を雪に埋もれさせる。

和議は成らず、征伐軍が動き出すと、山間の地形を利用し、遊撃軍や一揆勢を要路に配置し、輜重部隊や行軍の伸びきった諸将の部隊を襲い、進撃を阻んだ。
さらに、九戸城下の住民を避難させ、一帯を焼け野原とし井戸も潰した。
大軍が、九戸城を囲んでも、陣屋を造る材木すらない。

冬が来れば、大軍であることがかえって苦になる。陣小屋もなく、暖を取る薪もなく、兵糧も届かなければ全滅しかない。
政実ら九戸勢の待ち焦がれる冬は、もうそこまで来ていた。


「冬を待つ城」安倍龍太郎著 新潮社文庫 978410130527


橋本